堕胎罪

堕胎罪

【刑法】

 

六法

 

 

【堕胎の罪】
保護法益=@胎児の生命・身体の安全、A母体の生命・身体の安全。

 

[母体保護法]
同意堕胎の正当化…近年、欧米において個人の尊厳ないし自己決定権を根拠として主張されている。

 

本人及び配偶者の同意を得て(例外的に本人の同意だけよい場合がある)、@妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの(医学的適応事由、A暴行もしくは脅迫によってまたは抵抗もしくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの(倫理的適応事由)について、指定医師による人工妊娠中絶(胎児が母体外において生命を保続することができない時期に人工的に胎児およびその付属物を母体外に排出すること)を認めている。(母体保護法14条1項)
↑違法性阻却にあたり、自己堕胎罪、同意堕胎罪について、大幅な正当化が図られている。

 

[基本概念]
客体=妊娠中の女子および胎児
行為=堕胎=自然の分娩期に先立って胎児を母体外に排出する行為および胎児を母体内において殺害する行為。

 

【自己堕胎罪】(212条)
妊婦の精神状態の特殊性を考慮して同意堕胎罪と比較して軽い刑である不真性身分犯。

 

主体=妊娠中の女子
行為=堕胎行為を妊婦が行なうこと
例:薬物で自ら堕胎すること

 

妊婦が医者に頼んで堕胎してもらった場合は?
同意堕胎罪ではなく、自己堕胎罪になる。(通説)

 

【同意堕胎罪・同意堕胎致死傷罪】(213条)
行為=堕胎させること=妊婦以外の者が堕胎の施術を実行すること
※あたらない例:堕胎を希望している妊婦に医師を紹介する行為、胎児費用を手渡す行為。

 

堕胎を希望する妊婦に医師を紹介するなど自己堕胎を幇助した者の罪責は?
<論点>
@65条2項より、同意堕胎罪の幇助
A自己堕胎罪の幇助(判例)

 

【業務上堕胎罪・業務上堕胎致死傷罪】(214条)
趣旨:堕胎施術を行なうことの多い職種を選び出し、政策的に重い刑を科す。

 

妊婦と医師双方に堕胎を教唆した者の罪責は?
自己堕胎罪の教唆と業務上堕胎罪の教唆を行なったことになるが、自己堕胎罪の教唆は業務上堕胎の教唆に吸収される(包括一罪)。
※ただし、教唆者=業務者でないときは、65条2項により、同意堕胎の教唆が成立。

 

【不同意堕胎・致死傷罪】(215・216条)
同意堕胎より刑が加重されている。
行為=妊婦の同意を得ずに同意させること。

 

 

 

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